こんにちは。

所員の辻林です。

栗林建築研究所では建築ツアーと題しまして、12月13日~16日の四日間、慰安旅行に行ってきました。

車で移動し、大阪、三重、名古屋、静岡、東京にある数々の建築物を見学するツアーです。

今回は1日目、13日の様子を紹介させていただきます。

 

冬将軍の到来により少し予定を変更しましたが、

1日目は三重にある内藤廣氏の海の博物館、名古屋にある隈研吾氏のプロソリサーチセンターを巡り、

中島社長様のご厚意により、東京にある中島工務店のTOKYOSTYLEに宿泊という流れでした。

大阪~東京間の長時間移動になるので、朝早くに大阪で合流し、まずは海の博物館へ出発です。

 

​道中の車内では90年代生まれの懐メロ(BUMPやミスチル、ジュディマリ、ケツメイシ等)が流れていました。

学生のころに流行った懐かしの曲は、時が経っても歌詞を覚えているもんで、ついつい口ずさんでしまいますね。

そんなこんなで学生時代の思い出に浸っているあいだに、海の博物館に到着です。

​「博物館はいつまでも、活動をつづける」という言葉の元、

海の博物館は坪単価が約50万円という予算と、内容がかわる展示物に対応できるフレキシブルさ

(展示物が全て学芸員の方の手作りなため、よく展示が変わるそうです)

100年持つ建築が求められ、

設計開始の1985年~竣工の1992年と、7年にわたる長い時間をかけて完成された建物だそうです。

栗林賢次建築研究所 慰安旅行1日目

2017.12.18

平面的には6棟に分かれており、それぞれに展示がありました。

同じプロポーションの建物が大きさや角度を変え配置されている様は、

漁村の様な風景を思い出します。

また、屋根の瓦葺も周辺の漁村からの知恵を拝借したそうで、

​塩害をおさえ、100年持つ建築を目指したようです。

木の集成材をアーチ状にかけ渡した収蔵空間と、

アーチ状から少し山型にかけ渡したプレキャストコンクリートの収蔵空間があり、

造船の技術から導き出されたこれらの構造は、とてもダイナミックでありながら、

展示物の背景として静かに佇んでいました。

海の博物館をみていると、

坂本一成氏は上棟したときの構造のみの状態こそ建築空間の本質であり、

ボードをはった後はインテリアの話になる。という様な事を言っていたことを、書籍で読んだことを思い出しました。

力の流れ方が美しい構造を見ていると、自然の生命のような力強さ、美しさを感じます。

建築の様に短命でなく、洞窟の様な長命でありながらも、常に自然と共に変化しているような空間の感覚。

設計をする際に、死や時間を考える内藤氏ならではの建築なのかもしれません。

ちなみに、プレキャストコンクリートで構成された収蔵庫には空調設備がないなと思っていたのですが、

ネットで調べてみると、三和土に調湿効果があるようで、自然と展示品に適した湿度状態を保っているのだとか。

内藤氏いわくまぐれ当たりらしいですが、色々な努力と奇跡、ご縁が積み重なってできた建築なんだなと感慨深いです。

そんなこんなで海の博物館を出発し、次に向かったのが名古屋にある隈研吾氏のプロソリサーチセンター。

飛騨高山に伝わる木製の玩具、「鴨」のシステムを発展させて、小断面(6cm×6cm)の木材を釘も接着剤も用いずに組み合わせることで、

中規模の木造建築を創造することに挑戦した(隈研吾氏HP抜粋)

 

だそうで、6cm角の木材を組むことで、屋根を支える構造として成立しています。

建物としては、構造の全てがこの鴨システムで完結しているのではなく、

展示空間と屋根を支える一部分が、構造として機能しているようです。

辻林政憲

これは隈氏が言うキノコの様な建築のひとつです。

キノコの様な建築とは

木の様に幹があり、枝があり、葉があるといったヒエラルキーから全体が構成されているものではなく、

細かな粒子が全体を構成している状態の事をいいます。

また、粒について隈氏は下記の様な事を述べています。

生物は周囲に存在する粒を認識することによって、生きていけるのだけれども、

逆にその粒が周りにないと、環境の中で自分がどこにいるのか分からなくなる。

環境に自分を結び付けるために粒が必要なのだそうです。

コンクリートの壁や床で囲まれた空間にいると、いっさいそこに自分をその環境に結び付ける要因がないので、

生物が生きていくことができる環境にはならないということなのです。生物の根本と粒が関係あるんですね。

(2010 東西アスファルト事業協同組合講演会抜粋)

像を構築するのではなく、粒から建築を考えることで、建築の在り方を模索している様です。

パターンが連続している空間内に入ると、シークエンスが壮大であり、

周辺環境と自然と連続している感覚を覚えました。

また、パターンの一部として展示空間をはめ込んだデザインは秀逸であり、新しい建築への挑戦を伺えます。

空間の外から見るパターンは、何かしらの伝統的文脈をはらんでいる様に感じられ、内部空間とはまったく違う印象を受けました。

どの様な経緯で設計が行われたのかは不明ですが、単純パターンがおりなす両義性はとても新鮮であり、

同システムで形態を変更するだけで、様々な事象に発展できる可能性に満ち溢れているように感じました。

隈氏が様々な建築にこの考え方を引用していること、それが隈氏のアイデンティティへと発展している事がなんとなく理解できたような体験でした。

その後、東京に向かい、中島工務店の中島社長様のご厚意により、

新木場にあるTOKYO STYLEに宿泊しました。

TOKYO STYLEは「小さく造って大きく暮らす」をコンセプトの軸におき、

社会情勢や首都圏の不動産事情に合った家づくりを提案するモデルハウスです。

省エネ住宅として断熱性能に特化している他、木の香りいっぱいの住居はとても気持ちがよく、

住まい手に愛される空間だと感じました。

​また12月という寒い時期にも関わらず、モデルハウスの中はポカポカとして居心地がよかった。

モデルハウスなので見学はもちろん、宿泊体験等もできるそうで、

興味のある方は一度体験してみてはいかがでしょうか。

http://kinoie.in/modelhouse/tokyo.html

​中島工務店 TOKYO STYLE

ちなみにですが、夜抜け出してもんじゃ焼きを初めて食べに行きました。

大阪人の私は「お好み焼きの方が絶対おいしい!」という偏見を持って食に挑んだわけですが、

 

めっちゃおいしいですね・・・もんじゃ焼き。

おやつ感覚でパクパクと食べられるヘラの大きさの絶妙さ、

焼き加減をその場で好みでつけられる柔軟さ、

ベビースター等のお菓子と混ぜて食べるという遊び心、

​これは認めざるをえないです。

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