栗林賢次建築研究所 慰安旅行4日目

2017.12.22

次に訪れたのが杉本博氏設計の江之浦測候所。

構想に10年、建設に10年かかったといわれています。

太陽が昇り季節が巡り来ることを意識化し得たことが、人類が意識を持ちえたきっかけとなった。

この人の最も古い記憶を現代人の脳裏に蘇らせる為に当施設は構想された。

との事ことです。

よってすべての建物は太陽との関係性を重視して配置、計画されている様です。

見学時間は2時間と決まっていましたので、残念ながら、太陽の変化はあまり感じる事はできませんでした。

根府川から伊豆にかけては、古くからの石の名産地だそうで、江之浦測候所でも多くの石を使用していました。

石の陰影から、建物の陰影、植物の陰影、広大に続く空と海の陰影と続く様は、

光りがおりなす陰影より、全てのものの存在が浮き上がり、自然に神々が宿るという神道的な畏怖を感じました。

また、杉本博氏の海景シリーズも展示されています。

本等で見た事はあるのですが、本物は見た事なかったので、その吸引力に感動した旨を所長に伝えると、

あくまで写真の現像だから本物、偽物の差は果たして・・・という問いを投げかけられました。

確かに。

写真という媒体である以上、どこに軸を置くかによって、本物と偽物の立場が入れ替わる。

​それを含めて対象をみないと、とたんに変な方向に印象を持っていかれる。

ちなみに海景シリーズの展示の最後には、海を一望できるデッキが設けられており、本物の空と海の地平線を望めました。

そこで臨む地平線は、本物であり、海景シリーズにおける本物と偽物の反復を後に眺めると、

今まで見てきたものと違うなにかに見えました。

次に訪れたのが隈研吾氏設計のCOEDA HOUSE。

8cm角の棒状のヒバ材をランダムに組み合わせて、一本の巨大な樹木のような建築を作った。

鉄の7倍の引っ張り強度をもつカーボンファイバーロッドによる補強によって、

一本の樹木のような、大きく枝を張り出した形が可能となり、地震時の揺れを抑えることも可能となった。

敷地は太平洋を望む崖の上にあり、樹木の形状の構造によって、景観の妨げとなる外周部の柱を消すことができた。

(隈研吾HPより抜粋)​

時間の問題上、じっくりと見ることはできませんでしたが、

ガラスの箱の上に軽やかにのる屋根は戸と絵も印象的でありました。

構造も特殊なものとなっており、奇妙でありながらも豊かな空間でした。

最後に訪れたのが西沢大良氏設計の駿府教会。

個人的にはこの旅で一番楽しみにしていた建築です。

うろ覚えですが、壁厚を一定以上設ける(確か300~400mmくらいだったような・・)と、

環境を操作することが可能となると、西沢氏の本で読んだことがあります。

写真でみる印象的な光と、この西沢氏の考え方にとても惹かれたわけです。

実際に入ってみると、イメージよりも小さな空間でした。

天井高さが高く上部から差し込まれる光は、その小ささを打ち消していました。

また、箱型の建築でありながら、ルーバーのピッチを変更することで角を消しているため、

​とても奇妙な感覚を覚えました。

立派な教会ではなく、古い倉庫の片隅で十字架に祈りをささげていると、

神の仕業としか思えないような御光が差し込み、倉庫が神聖な場へと昇格させてような感覚?

倉庫のような出で立ちは、装飾による厳かではなく、自然を背景にした厳かさを重点に設計したのではないかと夢想。

また、夕方に教会を訪れたため、牧師さんのいきな計らいで、

照明を点灯していただきました。

下記の写真左下が、点灯前と点灯後の比較の写真になるのですが、

全体が燈籠のようにやさしく光る照明に、驚きを隠せませんでした。

ルーバー内に隠された照明と、ルーバーに投光する照明の二つでこの雰囲気を出しているらしいです。

​いや、面白い。

そんなこんなで建物めぐりの旅は全工程完了となりました。

​帰りの道中に食べたひつまぶしは、とてもおいしく​旅のしめくくりに相応しい最後でした。

3泊4日という旅のなかで、様々なバリエーションの体験をしました。

全員で行きたい場所の意見を出し合い決めた工程は、とても個性的で面白かったです。

みなさんお疲れさまでした!

また、慰安旅行を実現してくださった所長!本当にありがとうございました。

辻林政憲

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